松江堂薬局の漢方でなんとかしたい!

中医学講師30年。漢方や中華圏の文化とか書きます。

暑くなると多くなる事件(こころと漢方)

 最近痛ましい事件が多すぎ悲しくなります。でも不謹慎かもしれませんが夏はこうした事件が増えるでしょう。今日は予定を変えて中医心理学の立場からこうした事件を考えます。
 五行学説で「火」にあたる五季は「夏」、五気は「暑」、五臓は「心」、五体は「脈」です。ちょうど今からです。
 中医心理学の理論で大切なものに「心蔵神明」があります。心の中に神明があるという意味ですが、神明とは精神や情緒、思考などの働きを意味します。早い話が「こころ」は心臓の中にあるということです。私達は悲しいことやショックな事があった場合胸が苦しくなって心臓がドキドキします。頭が痛くなりません。心臓の生理活動が安定していればこころも安定します。こころの状態が不安定なら心臓の生理機能も失調します。また心臓に疾患があればこころも不安定になります。狭心症の発作が起こったときは死ぬのではないかという恐怖感が出ます。胃痛ではでません。
 夏は暑くなり人体は皮膚の体温を調整させる必要がでてきます。そのために発汗するのですが心臓は血流を増し血液を汗に転化させなければなりません。これは心臓にとっては負担になり機能亢進が起こります。これを心火上炎というのですが、心臓が熱くなってくれば
神明は不安定な状態になりイライラしやすくなったり寝苦しくなったりします。台湾では夏には苦茶を飲みますが苦味には清熱作用があるからです。暑い沖縄でも苦瓜を夏に食べますね。
 心火がひどくなると熱擾心神の状態になり話が支離滅裂で声は大きく力強い譫言(せんご)
になり暴れ始めます。体質的に熱がり、肉や香辛料の効いた料理が好き、強壮剤、ストレスを我慢していた人がなりやすいですね。これにアルコールの飲み過ぎによる痰火擾心になると病気のメカニズムはもっと複雑になります。
中医心理学の臨床では火・痰が致病因素として重要になります。痰についてはいつか解説したいですが咳の痰とは異なります。
治療では瀉下薬の大黄を使って心火を鎮めます。この方法は「釜底抽薪」法と呼び釜底から火の原料になる薪を抜き取ることで火を消す方法です。もともとは兵法の三十六計のうちの一つです。大黄をこのように使えるのはかなり優れた医者です。しかし中薬学に「人参殺人無罪、大黄救人無功」という言葉があります。間違って人参を医者が使っても患家は人参を使っても治らなかったのだからとあきらめますが大黄をうまく使って病人を治しても褒められない、という意味です。
 8月になりもっと暑くなると心火が燃え上がり暴れ始める人は多くなるでしょう。遭遇したらどうしましょうか? とにかく逃げてください。
中医心理学 #心火 #川崎の忌まわしい事件