松江堂薬局の漢方でなんとかしたい!

中医学講師30年。漢方や中華圏の文化とか書きます。

紅楼夢で今までの復習(こころと漢方)

 中国四大奇書のうちの一つ「紅楼夢」は清朝乾隆帝の時代に曹雪芹によって書かれた長編小説です。主人公の賈宝玉(か・ほうぎょく)は上流階級の賈氏一族の貴公子であり、物語には林黛玉や薛宝釵

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薛宝釵
など美少女が登場します。
林黛玉は才能もありプライドが高い少女です。ただ身体が弱く疑り深い性格です。賈宝玉のことが好きですがそのプライドが邪魔して賈宝玉の前で素直になれません。ある日侍女たちが賈宝玉は宝釵と婚約すると噂話をしているのを聞いてしまいます。プライドが高く直接それを確かめることはできません。猜疑心がもともと強くそのうち食欲がなくなり全く食べなくなってしまいます。同時にこのまま死にたいと思うようになります(思傷脾、心神不安)。ところがこの噂話はデタラメだったとわかると林黛玉の体調は回復し始めます(解惑)。
この間、林黛玉の身体を心配して家族はツバメの巣や人参などたくさんの高貴な補薬を与えます。しかしこれらは少しも役にはたちません。脾胃(消化器系)が動かなく食欲がないのに薬が消化吸収できるでしょうか?
人間関係が疎遠なため直接聞けばすぐに解決するもののアレヤコレヤと一人で想像して考えているうちに心の病になる現代人は多くいます。薬よりもまず誤解を解くようにするほうが良いのです。

 紅楼夢ではたくさんの女性が出てきますが、思慮過多により血液が不足し心血不足による心神不安(情緒不安定)が多いように思います。秦可卿(しん・かけい)は食欲不振や目眩に悩みますがこれは心血不足証ではないでしょうか?
書生に補気補血薬を処方してもらい多少良くなります。最後には亡くなってしまいますがその後、霊になって登場します。やはり霊を見る方も心血不足による心神不安であったのであろうと推測します。

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林黛玉