松江堂薬局の漢方でなんとかしたい!

中医学講師30年。漢方や中華圏の文化とか書きます。

国際中医師試験解説(中薬学)4

36 温中止嘔の効能がある薬はどれか?
 A 麻黄
 B 桂枝
 C 紫蘇
 D 生姜
 E 香薷
[解答]D
 刺身三点盛りの話はしたよね。同じ中焦(脾胃)に働くけど紫蘇は行気寛中(脾胃気滞! 肝気鬱結ではない)、生姜は温中。ともに解表作用は弱いので解表の目的では補助的に使う。
 生姜の温中と止嘔は独立した作用と考えたほうがいい。温中で脾胃寒証、脾胃虚寒証の食欲不振、消化不良、腹痛便溏、腹部冷痛に使える。もちろん、胃寒証の悪心嘔吐にも使えるが、胃熱証の嘔吐でも他の薬物を配合することで温性を消しても効果がある。つまりオールマイティーな止嘔薬なのだ。孫思邈は「止嘔の聖薬」と言っているよ。妊娠嘔吐や乗り物酔いにも広く使われているね。
 他に生姜は温肺止咳作用もあるけど、これも弱いから補助的に使われている。温中利水作用はないな。→問37
 半夏や天南星の毒性を減弱させるのは当然チェックしているよね?(相畏、相殺)

[ここから発散風熱薬(辛涼解表薬)]

40 解表透疹、生津昇陽の薬はどれか?
 A 薄荷
 B 蝉退
 C 桑葉
 D 浮萍
 E 葛根
[解答]E
 まず発散風熱薬(辛涼解表薬)のなかで「昇陽」作用がある薬物を確認しよう。葛根・柴胡・升麻だ→問48
 葛根は解表退熱作用が強く外感風寒、外感風熱どちらにも使えるが同時にまた項強(うなじの強ばり)の治療に使われる。項強は風寒表証によく見られ風熱表証ではあまり見られない。結果的に涼性ではあるが葛根湯や桂枝加葛根湯のような辛温解表剤によく配合されている。
 葛根の生津作用は、熱邪耗津、陰虚、脾失調昇発のいずれの場合の津液不足にも用いることができる。
 昇陽は昇挙脾陽気の意味。葛根は清陽不昇による脾虚気弱の久瀉不止(長い間止まらない下痢)に使える(七味白朮散)。脾胃の陽気を上げることで脾の水湿の運化作用を改善して下痢を止める。湿熱瀉痢の場合には清熱燥湿薬の黄芩、黄連を配合して葛根芩連湯にする。葛根の昇陽作用が下痢に使われるのは物理的にでんぷん質が多いので腸管の保護ができるからだ。