陰虚火旺
鍋の中に水が少ししか入ってないとすぐに沸いてしまいます。更年期のほてりはこれと同じです。
体の中の水の管理をするのは「腎」です。ここで指す水とは体液の他にホルモンなども含むのだと思いますが、腎は歳とともに衰えます。
ちょうど更年期の頃それがはっきり身体に現れ、生理がなくなり、身体は水がないので乾燥します。皮膚の痒みも出ますが膣も乾燥するので性交痛がでます。
水が少なくなれば相対的に火は亢進して身体はほてります。この火を虚火といいます。この火を消す時に清熱薬を使ってはいけません。身体を動かすために必要な陽をも消耗してしまい身体が逆に冷えてしまいます。
知母という薬物がありますが、学生には「母親が更年期で苦しんでいたことを思い出す薬だよ」だから母を知る、と教えています。知母は虚火という相対的に亢進してしまった熱を冷ます作用があります。
地黄も畑から取り立ては清熱作用が強いですが、酒で何回も蒸すと虚火を消す効能が出てきます。これを熟地黄と呼びます。
更年期のほてりはまず腎臓の水を増やし、虚熱を取り去る薬物の組み合わせが基本になります。
また虚熱のために身体の上に位置する心が不安定になり不眠や動悸がでてきていれば「天王補心丹」を使います。
こうした身体の状態からイライラが出てきたら上の処方に加味逍遥散を加えてもいいでしょうね。
腎の水が少なくなるのは更年期ばかりではありません。オーバーワークや睡眠不足でもでてくるので男性でも午後から身体がほてり寝ていても布団をはいでしまう。寝汗をかく人がいます。考え方は同じです。