西大寺豊心丹(ほうしんたん)
1240年(仁治元年)に疫病が流行り四条天皇は西大寺の興正菩薩に命じて疫病退散を祈願させました。
鎌倉時代ですが、まだ医薬より先にご祈祷ということであったのですね。
そして三、七、二十一日目の満願の日にご神託により処方を得たのが「豊心丹」です。
この処方については1578年(天正六年)の「金瘡秘伝」に出ています。
人参、白檀、沈香、畢撥、樟脳、縮砂、丁字、木香、川芎、桔梗、麝香、無上茶、梹椰子、金箔、藿香
疫病に効くとは思えませんが、西大寺で製造して販売していました。どちらかというと気付け薬的ですね。
神仏という権威により治療する祝由療法に近いのでしょうか?
内は五臓、骨髄まで侵入し、外は孔竅、肌膚を傷害する。・・・・・・故に祝由の方法では病気を治すことはできなくなってしまった《素問・移精変気論》にあります。
当時 医薬が発達していなかった時代、人々は神仏に救いを求めたのでしょう。